『新緑に舞う』 


新緑の頃、山中を歩くと、萌黄色で溢れる木々に混じってところどころ色香を放つのが藤の花で、
その風合いは何とも妖しげで、風に擦れ合う若葉の隙間から、光と香気が漂ってくるようである。
『ふじ寺』として名高い住雲寺は、境内が一木ものの藤で被われていて、
萌黄色と薄紫のバランスが山野とは一転する。
これだけの色香が頭上から降り注ぐと思わずくらくらするほどで、
ついつい山中で藤を見つけるほどの平常心をなくしてしまう。

写真と文:村上 馨 撮影地:鳥取県大山町『住雲寺』

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