『黄昏幻想』 


夏の宵、幻想的な黄昏に出会うことがある。

すでに街並みはとっぷり暮れて、宵のとばりも降りているのに、

暮れなずむ西の空は、いつまでも空一面に真昼の青ささえ残し、

すでに落ちたはずの日輪は、地平の底で煌々と燃え盛る。

地上は闇なのに、空は明るい。

このアンバランスな光景に立つ時、われわれの中に幻想が起こる。

日の終わり、優しいはずのひとときが、胸騒ぎへと変わっていく。






写真と文:村上 馨 (2004年7月 松江市くにびき大橋より撮影)


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