『空というカンバス』 


木の芽吹き出し、若葉茂り、新緑が目に眩しい季節となりました。それにしてもこの季節

草木の成長の早さには驚かされます。

庭先などうっかりしていると、枯れ木のようだったものが、ある日気がついてみると、所

狭しと折り重なった葉の生い茂る緑野に変わってしまっているから驚きです。

そんな春から初夏にかけての移ろいの中、抜けて吸い取られてしまいそうな空を見ていて

写したくなった写真です。

すべて『空というカンバス』を意識して撮影してみたものです。

天と地のものをひとつのカンバスに収めるような写し方ですが、見上げたり、這いつくば

ったりしてのローアングル撮影ですので通常の目線と異なり、少し不自然に映るかもしれ

ませんがご容赦下さい。

空という果てしないカンバス。そこに何かを写し込もうとすると、その対象は地上で何か

こうとても強い自己主張が必要ですね。でないと、空に吸い取られてしまいます。

そこに、目に見えて成長する草木や野草のたくましさがあります。それが、たった一輪の

野アザミであっても、その葉の鋭さ力強さを目の当たりにすると、やはりそれを感じます。

写した写真がそんな私の意図をしかと反映しているかどうかは疑問ですが、まあそんな目

をもって見てもらえれば幸いです。

銀杏の木なども秋が定番ですが、こうして春の日、大空の中にそそり立つ若葉の大樹は何

ともみずみずしく圧巻です。




















写真と文:村上 馨 (2004年春)


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