瀬本明羅

女は 朝そこに座り 何を思うのか ふと湧いてきた哀しみを どの色で隠すか迷うのか 激したこころを しばらく持て余し じっと 自らを見つめるのか 男は ドアの隙間から 覗いて その寂しげな背中を見て そんなことを思い 今朝の空を見上げた いい天気ではないか なのに この女は 何を悩んでいるのか そう 思ってみても 男には分からなかった ただ 「おはよう」 と か細い声で 呼びかけることしか できなかった